2024.10.30
青森県2024.10.30
高級魚・八戸産キンメダイを
手新鮮“漬け丼”でお届け〈前編〉
株式会社マルヌシ

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株式会社マルヌシ

青森県の南東部に位置する八戸市。八戸前沖には南から北上する黒潮、千島列島に沿って南下する親潮、日本海から津軽海峡を超えて流れ込む対馬海流が交わり、四季を通じて豊富な魚介類が水揚げされる。

そんな八戸港のそばに立つ「株式会社マルヌシ」は、港で水揚げされた海産物を中心に、鮮魚や冷凍魚、加工品を日本全国、海外に届ける水産会社。国内屈指の港町で、次々と斬新な商品を生み出し、水産業の可能性を広げている。

マルヌシでは、これまであまり商品化してこなかった「キンメダイ」を使った新商品の開発に挑戦しているという。青森でなぜキンメダイを?老舗でありながらも、挑戦を続けるその想いを製造部長の坂本さんに伺った。

老舗のノウハウで世界を目指すマルヌシ

株式会社マルヌシ
水産業者が軒を連ねる白銀地区に本社を構えるマルヌシ

1952年創業のマルヌシは、70年以上の長い歴史のなかで培ってきたノウハウを活かし、前浜で水揚げされるサバ、イカ、イワシなどの原料販売を中心に取り扱ってきた。

八戸港を代表する魚といえば、水揚げ日本一の「イカ」と脂が乗った良質な「サバ」だが、近年では気候変動による海水温の上昇や環境の変化による不漁、人手不足などの要因から、漁獲量が著しく減少している。水産加工業にとっては厳しい現状だが、マルヌシは果敢に新しいことにチャレンジし続け、グローバルな企業へと成長している。

70周年を迎えて一新したというロゴには、「もっとおいしく、おもしろく」というキャッチコピーが目を引く。マルヌシオリジナル商品の開発を担う製造部長の坂本さんは「世界に向けてユニークな発想と商品をお届けしたい」と力を込めて話してくれた。

ユニークな発想で生まれたサバ缶

株式会社マルヌシ
数々の賞を受賞しているヒット商品「八戸サバ缶バー」

マルヌシではここ数年、オリジナルの商品に力を入れてきた。

2018年に販売を開始した「八戸サバ缶バー」は、パッケージ買いしたくなるオシャレなサバ缶で、「八戸前沖さばと、世界各国の料理や調味料とのコラボ」をコンセプトに、津軽海峡の塩、ゆずこしょう、グリーンカレー、アヒージョ、トムヤムクン、ハバネロ、青森県のソウルフードであるスタミナ源たれ味の7種類のラインナップで販売している。

豊富な種類から自分好みを選べるというユニークな発想で、新しいサバの食べ方を提案しているこの商品は、販売から5年ほど経つ今では青森を代表する土産物のひとつとなっている。

「今までにないオリジナル商品を通して青森県産の魚介類をアピールしたいんです。お客様の需要に応えて、販売数もどんどん伸ばしていきたいですね」と坂本さん。現在、マルヌシが販売しているオリジナル商品は50〜70商品あり、これまで坂本さんが手掛けた商品数は100種以上にものぼるというから驚きだ。

そんな坂本さんが、満を持して開発した商品が八戸港産「金目鯛漬け丼の素」だという。

濃厚な旨味のある「キンメダイ」を新商品に

株式会社マルヌシ
漬け丼のもとの原料となるキンメダイ

「キンメダイは、伊豆半島や房総半島などが産地で南の方で獲れる魚というイメージが強いと思います。あまり知られていませんが、実は八戸港も国内有数のキンメダイの水揚げ量を誇るんですよ。ハワイ沖の少し手前にある『天皇海山』という海域で獲れるキンメダイで、遠洋漁業船が3~4カ月に1回のペースで八戸港に入港し、水揚げしています。一般的な魚は旬の時期がありますが、遠洋漁船によって水揚げされるキンメダイは年間を通して安定した量が確保できるのが特徴です。青森名産のイカやサバの水揚げが不安定になっていますから、安心して商品を提供するためにキンメダイに目を向けました」

高級魚のイメージがあるキンメダイだが、年間を通して水揚げのある八戸港産なら気軽に手に取ってもらえる程度まで価格を抑えることができる。何より、八戸港産のキンメダイは鮮度が抜群で脂が乗っているため、濃厚な旨味があるという

「青森からキンメダイのおいしさを届けたい」と考えた坂本さんは、高級魚キンメダイを原料に、自宅で手軽に味わえる商品づくりに取り掛かった。

文・鈴木麻理奈 写真・世永智希

後編へつづく