“粋なしめ鯖 ―八戸から旨いしめさば届けます―”
武輪水産の自社オンラインショップ(https://www.takewa-store.com/)には、鮮度の高い商品写真に目を引くキャッチコピーが並びます。中でも味付けにこだわった4種の『粋なしめ鯖』は不動の人気商品です。
武輪水産は1948年の創業以来、八戸港に水揚げされる新鮮な海産物を主とした加工・販売を手がけてきました。酒のつまみの定番、さきいかの加工では先駆け的存在でした。
八戸港は、イカの水揚げ量日本一。2位以下を大きく引き離す圧倒的な漁獲量を誇ります。サバの主要漁場としては日本最北に位置し、水温が低いため脂ののったサバが水揚げされることで知られます。武輪水産ではこの八戸の2大素材、イカやサバの加工品が主力です。
先代が創業し、2代目となるのが現社長の武輪俊彦さん。約150人の社員を抱える大規模な事業展開で、大手のPB商品※1も多く取り扱っています。地元の人が「武輪水産の悪い噂を聞いたことがない」と口をそろえるほど地域からの信頼も厚い企業。
鮮度だけでなく“安心・安全”のための環境整備も重視し、2000年には冷凍しめ鯖の対米HACCPを取得しました。2021年から義務化されたHACCP制度を20年ほど先んじて導入していたことは企業としての積極的な姿勢の表れでしょう。
※1 PB商品:Private Brand(プライベートブランド)の略。メーカーではなく、小売業・卸売業者が企画し、自社ブランドで販売する商品のこと。
今回、商品開発に挑戦するのは、開発チームに所属する藤田純史さん。都内で学生時代を過ごした後、東北圏の小売業に務め、マネージャーやバイヤーとしても活躍。いつかは地元・八戸に帰りたいと思っていたそうです。30歳を超えた12年前、更なる高みを目指し「チャレンジは今しかできない。最後のチャンスだ」と、転職を決めました。当時、武輪水産はB to C事業を始めた時期で、藤田さんが独学で学んだウェブデザインの腕も買われて転職が決まりました。小売り時代にはオリジナル商品を作った経験もありましたが、商品開発のイロハは、入社後に大手メーカーでの勤務経験がある先輩から学んだと言います。武輪水産では“開発チーム”の肩書きで、商品企画にとどまらず、オリジナル商品の営業、ネットショップ運営、会社HPの更新までこなすマルチプレイヤーです。
HPへのこだわり
藤田さんが手掛ける自社オンラインショップにはこんな言葉が並びます。
人工甘味料を一切使わず、自然の甘さにこだわったしめさば。
「おいしさの秘密は、ヒミツです(笑)」
「女子会にはサラダ仕立てに、うま味たっぷりの『昆布締め』はお父さんの晩酌に・・・なんていかがでしょうか?」
「安心して食べていただくまでが私たちの仕事です。しめさばの守護神とは私のことです!」(自社オンラインショップより)
写真付きで開発担当者のコメントが寄せられています。商品の特徴はもちろんのこと、こだわりを反映した目を惹くビジュアル、商品への想いがたっぷり詰まった、わかりやすいページに、楽しくスクロールを進めるはずです。この人気シリーズは、藤田さんが企画から担当した渾身の作。しめさばの誘惑がページの向こうから迫ってきます。
今でこそ、新しいことに果敢に挑むキャラクターが受け入れられ、会社になくてはならない存在の藤田さん。
「入社当時は、浮いていたと思う」と本人も苦笑い。
老舗としての確固たる地位に加え、盤石な販売基盤もあったため、デザインや見せ方にそこまでこだわる必要がなかったという背景が影響していたのかもしれません。
「チャンスをもらえる環境だった。プロジェクトに理解を示してくださる社長には心から感謝しています」藤田さんにとって、武輪水産は自由な発想で常に挑戦できる職場です。
新シリーズ誕生
今回のプロジェクトを機に、藤田さんの日ごろの商品開発アイデアの中から形になったのが「煮魚シリーズ」。計画書を作りながら、イメージを膨らませていきました。
『もしも武輪水産が食堂を作ったらこんなメニューになる』
港町八戸にある架空の老舗食堂をコンセプトにした「八戸 たけわ食堂」シリーズとして、メニューを選ぶ楽しさも再現できるように4つのメニューを用意しています。
ラインナップはこちら。
1.昔ながらのさば味噌煮
大型サイズの旬の鯖を贅沢に半身1枚使った味噌煮。1枚がなんと手のひら以上の大きさ!自宅調理で扱うのはなかなか難しいほど極厚の身をふっくらとした煮つけに。
コク深い味噌に生姜が香る王道の味わいです。じっくり煮込んだ鯖は骨まで柔らかく、まるごと食べられます。存在感のあるスライス生姜の大きさにびっくり! さばの味噌煮イメージを裏切らない安心感がありながらも、一線を画す、極上素材ならではの仕上がり。これは両親や祖父母世代が喜びそうです。
2.いわしとたけのこの旨煮
特製の甘口醤油だれでじっくり煮込んだ、旬のいわしとたけのこ。たれとの相性は抜群で、たっぷり使用したたけのこの食感も「手づくり」そのもので、満足感たっぷり。たけのこのボリュームからも、藤田さんの“満足して帰ってほしい”そんな食堂の想いが滲むようです。
3.にしんのトマトソース煮込み
「にしん」と聞いただけでちょっと遠慮したい…という方もいると思いますが、そのイメージを覆します!旨味たっぷりの、おいしい“お魚”のトマトソース煮込み。 “にしん”と知って、こんなにおいしいんだ!?と驚きます。ノルウェー産にしんを特製のトマトソースでじっくり煮込んだ洋風メニュー。小骨までやわらかく、トマトの甘みと程よい酸味のソースがたっぷり入っているのも特徴。ご飯にはもちろん、そのままパスタソースにしたり、パンと合わせても良さそうです。
4.さばとバジルガーリックの香味煮
旬の大ぶりな鯖を半身1枚贅沢に使った一品。身はしっとり柔らか。バジルとガーリックの香りが漂う香味野菜を使った特製ソースにはやさしいとろみがついています。とろけるようなお魚、新感覚を楽しめる洋風メニューです。ワインとの相性も良さそう。プリンのような…というとちょっと違うのですが、本当に口の中でちょうどよい感じにとろけるのです。この食感にはハマりました!
4品いずれも人気定食屋、顔負けのボリューム。カレー皿いっぱいのサイズです。湯煎やレンジで温めれば熱々でそれはそれはおいしく、そのまま常温でもおいしく食べられ、ヘルシーな魚料理を手軽に楽しめます。
このクオリティーで、常温商品なのも画期的。主なターゲットは30~40代の女性とのことで、これは使い勝手が良くギフトにも喜ばれること間違いなし。個人的にはヒット商品になりそうな予感しかしません…!!