2024.01.12
福島県2024.01.12
世界中のまぐろ漁場を知り尽くした「山菱水産」が贈る、
最高のギフト〈後編〉
山菱水産株式会社

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前編はこちらから

天然まぐろのお造りを食卓へ

山菱水産では、今回の商品を作り上げるために企画の段階から何度も練り直し、開発を進めてきたそうだ。

「昨年はじめてEC販売に乗り出し、天然本まぐろの柵を販売したのですが、その経験を活かして、今年はよりお客さまに寄り添った商品にしたいと考えたんです」と出澤さん。

それが2種類のセットを展開する「山菱プレミアムシリーズ」だ。

天然まぐろ贅沢食べ比べセットの盛り付け例

「天然まぐろ贅沢食べ比べセット」は、「天然本鮪大トロお造り」「天然南鮪中トロお造り」「天然大鉢鮪赤身お造り」「天然粗挽鮪」が入り、さまざまなまぐろを部位別に味わえ、贅沢な食べ比べができる。

赤身堪能鉄火まぐろセットの盛り付け例

もう一方の「赤身堪能鉄火まぐろセット」は、「目鉢鮪赤身切り落とし」「上黄肌赤身お造り」「天然粗挽鮪」が入り、ワンランク上の赤身の美味しさを堪能できる。素材を吟味しているのはもちろんのこと、いかにお客様がおいしい状態で食べられるかを追求してきた。

「昨年は柵で販売したのですが、今年はお造りにカットして提供することにしました。というのも、柵をきれいに切るのが苦手だという声に応えたかったんです。あらかじめお造りにして提供することで、おいしいまぐろを手軽に楽しんでいただくことができます」

さらにお造りや切り落とし、粗挽の形状や味わいを保つために新たな包装技術が採用されている。

まるで包装していないかのような見た目。素材をつぶさずにフィルムを密着させてうまみを閉じ込めている

その包装方法は真空パックの一種で、加熱したフィルムを被せて真空引きすることで、フィルムを製品に密着させる。そうすることで、食品のドリップ(うまみ成分)がほとんど出ることなく、鮮度も保たれる。商品の形状やまぐろ本来の色、おいしさをそのまま閉じ込めることができるのだ。

さらに、難しいと言われる冷凍まぐろの解凍も家庭で簡単にできる工夫を施した。未開封のパックのまま流水に10分ほど浸したあと、そのまま30分ほど冷蔵庫で休ませるだけと非常に簡単で、鮮魚そのままの味を楽しむことができる。

「まぐろ業界でこの包装技術を採用するのは実は当社がはじめてなんです。我々としてもチャレンジなので、どんな反応が返ってくるのか楽しみです」と出澤さん。

中身をつぶすことなく立体的に包み込むため、見た目も美しく、大切な人へのギフトにも最適だ。

とろけるような上品な甘みの「天然粗挽鮪」

お次が「天然粗挽鮪」。山菱水産の主力商品のひとつ「まぐろのたたき」のスペシャルバージョンだ。

同社では巻き寿司用に加工したまぐろのたたきを全国のスーパーに卸していて、国内の水産メーカーでもトップクラスの生産量を誇っている。たたきのラインナップは、なんと20種類以上もあるのだそうだ。

「ネギトロは回転寿司でも人気のメニューで、比較的リーズナブルなイメージがあるかもしれませんが、本当においしいまぐろのたたきを食べてもらいたいんです」と出澤さん。

山菱水産では部位を選別するのではなく、天然本まぐろを丸々一匹使用してたたきを作るそうだ。添加する油脂の研究にも余念がなく、その種類は10以上もあるという。今回はまぐろから抽出する鮪精製油を使用。試食を繰り返し、挽き方や配合を調整しながら完成したのが、今回の商品だ。

実際に試食をさせていただくと、とろけるような上品な甘みが口の中に広がった。口当たりがなめらかで、いくらでもご飯が進んでしまいそうだ。

「山菱印」を信頼の証に

出澤さんへの取材を通して、とにかく「まぐろが大好き」という気持ちがひしひしと伝わってきた。

ここまで愛情を持って真剣に商品を届けようとするのは、山菱水産がまぐろ文化を後世へ残していきたいと考えているからだ。そのために将来を見据えた取り組みも行っている。

その一つが、地元いわき市の小名浜海星高校の実習船「福島丸」がハワイ沖で漁獲するまぐろの商品化だ。山菱水産では、地域の水産業を担う若手の育成に加え、6次化のモデルづくりをサポートし、漁業の活性化を図っている。

「まぐろって本当に奥深いですよね。世界中で獲れるのに、そのひとつひとつを掘り下げて伝えるのはなかなか難しい。だからこそ、まぐろに深く関わる私たちが本当のおいしさを伝え、魚食文化を盛り上げていきたいんです」

今回の商品は、その一歩目となるはずだ。だからこそ「心を込めて丁寧に届けたい」と出澤さんは言う。

愛情を持って届けられるまぐろの裏側を知り、取材中に何度も胸が熱くなった。まぐろを囲んで笑顔になる食卓が、これからも広がっていくだろう。そんなイメージが膨らむとともに、大切な人へ心を込めて最高のまぐろを贈りたいと思った。

文・写真 奥村サヤ