2023.12.29
宮城県2023.12.29
可能性しかない!高タンパク、低糖質な「サメ」肉の
フィッシュプロテインソーセージ〈後編〉
株式会社 泰興商事

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機能性の高さに着目したアスリート食

サメ肉が高タンパクで低糖質であることから、機能性の高さに注目して開発されたアスリート向けの「FISH PROTEIN SAUSAGE」。担当したのは、「よしもと住みます芸人」として2022年に気仙沼に移住したお笑い芸人の「けせんぬまペイ!」さんと、泰興商事の製造担当、真白宙樹さんのお二人だ。

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商品企画を行ったけせんぬまペイさん(以下「ペイさん」)は、移住当初から阿部長商店の一員としてサメ肉の有効活用に取り組んでいる。

初めて企画したのは、阿部長商店が運営する飲食店「リアスキッチン」で、吉本興業とのコラボメニュー「気仙沼フカカツ」サンド。フカはサメの別名だ。また、今回の「FISH PROTEIN SAUSAGE」の前進となる「FISH PROTEIN BAR -meZAme-」の開発も担当。モウカザメの肉を独自の製法で食べやすくヘルシーに仕上げたもので、サラダチキンに替わる「サラダシャーク」として今年の2月に販売を開始した。

今回は、さらに進化したアスリートフードを開発。筋トレなどの体づくりの合間に食べられるよう、手軽さと機能性にこだわった。また、健康思考で食に気を使い、魚を食べるように意識している人にもうれしい商品だ。

ペイさんは商品を作るきっかけについてこう語る。

「健康や食に感度の高い人たちに刺さってほしくて。ジムに置いてもらいたいと考えていましたが、-meZAme-の時は保存方法が冷凍のみだったので、興味を持ってもらえても置いてもらえるところが少なかったのが課題でした。なので、今回は常温で保存できて手軽に食べられるものにしようと、泰興商事の強みであるソーセージの製造に特化した工場設備を使って商品を開発することにしました。運動する人にとっては携帯して持っていける方が絶対にいいなって」

ペイさんの企画の相棒となったのが製造部門の真白さん。ペイさんが「こういう味がいい」「こんな食感にしたい」などの要望を伝え、成分配合などを細かく調整して理想の味や食感を再現していく。

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「毎週、商品の企画会議に集まった人たちに試食をお願いして、フィードバックをもらっていました。それを真白さんに相談して、どんどん改良してきたって感じですね。今回はモウカザメとヨシキリザメの2種類のサメを使っていて、それぞれの比率はこれくらいとか、味付けのパターンを出してもらったりとか、無茶振りをたくさんして真白さんを悩ませてしまってます(笑)」

早速、実際に食べさせてもらった。

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魚の旨味が優しく口の中に広がる。それでいて臭みがなく、一般的な魚肉ソーセージに比べて軽やかな食感。焼いたものを食べてみると、香ばしくておつまみにもなりそうな美味しさだ。このまま食べても美味しいが、サラダと一緒に食べるのも良さそうだ。

味・食感・機能性を全て満たした理想の機能食に

機能性が高いサメ肉だが、地元の人にとってはサメ肉=臭いというイメージがあるそう。そもそも食べるイメージがない人も多い。今回の商品は、そんなイメージを覆すものになったという。

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真白さんは、機能性を保ちながら食感と美味しさを損なわない配合を見つけ出すのに試行錯誤を重ねた。

「モウカザメがかなり機能性が高いことは分かっていたんですが、その反面、ほかの魚肉ソーセージに使われてるスケソウダラとかに比べて、弾力感を阻害するような動きが強くて、なかなかまとまりにくいんですね」
「まとまるように配合を変えてみても、機能性を持たせるにはモウカがもっと必要かなとか、そうすると味がちょっと落ちるなとか。ベストバランスを探るのに何度も試作しました。そのおかげで、自分自身もこれまでにない新しい美味しさに辿りつけたのがよかったです」

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ペイさんは、サメの可能性について熱く語ってくれた。

「まずは食べてみてほしいです。魚の油は肉のそれと違って不飽和脂肪酸で、健康に気を配る人はもうその良さを知っているじゃないですか。サメは魚の中でも特に高タンパクですし、美味しいし、可能性しかないです!初めて食べる人たちにも、こんなに柔らかいんだ、美味しいんだってよく言われますから、若い女性、子どもたちにも、まずはぜひ食べてみてほしい。食べた方に感謝(シャ)ーク!!です!」

サメの魅力でまちを盛り上げたい

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今は、漁獲量が減少していて、サメも例外ではない。今回の商品に活用しているのは、マグロのはえ縄漁で副産物的に獲れたサメだ。豊かな海の恵みを余すことなく感謝していただきたいという思いが商品の背景にある。そして、商品を通して多くの人に気仙沼を知ってもらうきっかけになれたらという二人の想いが込められている。

真白さんは「僕はご縁あって移住してきた身ですが、ここに住んで気仙沼のために貢献したいという思いがあります。気仙沼で生まれ育って、都会に出て働いている方も多いと思うんですけど、そういった方がこの商品を見て、地元を思い出して買ってくれたらうれしいです」と話す。
「関東で生まれ育ったので、気仙沼といえばフカヒレのイメージだったんですよ。でも、こっち来てみたら生鮮カツオの水揚げが27年連続日本一だったり、メカジキやサンマも有名だったり、そういうのも全然知らなかったから。この商品で、気仙沼を知ってもらうきっかけになったらうれしいですね」とペイさん。

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「サメの美味しさ、機能性の高さを、もっと多くの人に分かってもらいたい。サメの加工品は鮮度が大事で、水揚げしてすぐ加工できる環境があるからこそ作れるものなので。気仙沼には条件が揃っているんです。フカヒレだけじゃないぞ!ってとこを広めていきたいです。なんたって、気仙沼を盛り上げるためにここに来ましたから!」

サメの可能性にかける二人の思いが多くの人に伝わっていく未来は、すぐそこかもしれない。

文・写真 佐藤 文香